2009.1.25
平成21年1月25日に岡山大学病院予防歯科・山本龍生講師の講演会を受講しました。
歯周病は細菌感染であるが、その進行は様々なリスク因子により修飾される。したがって歯周病対策は原因除去だけでなくリスク因子対策がポイントとなる。最も有名なリスク因子は喫煙であり、その他にストレス、糖尿病、HIV感染、骨粗しょう症なども注目されている。また、食生活が歯周病に影響することがわかってきた。
アルコ―ル摂取と歯周病の関係が疫学調査で指摘された。また、高コレステロ―ル摂取による高脂血症患者に歯周病罹患者が多いことも報告された。
また、アルコ―ルや高コレステロ―ル食の摂取による歯周組織崩壊には、全身の酸化ストレス度の上昇が深く関わることも明らかになった。
酸化ストレス度の上昇とは、活性酸素の過剰生産または活性酸素消去機能の減退した状態を示す。
活性酸素は生命の維持に必須であるが、活性酸素の生産と消去のバランスが崩れると、メタボリックシンドローム、動脈硬化、アルツハイマ―病、骨粗しょう症、癌など様々な疾病や障害が起こることが指摘されている。近年、酸化ストレスの点からそれらの予防や治療を行う「アンチエイジング医学」が脚光を浴びている。
歯周病においても抗酸化の点から検討がなされ、動物実験レベルで成果が確認されている。将来的には、歯周病の予防や治療に、原因除去としてのプラ―クコントロールに加え、アンチエイジングの点からのアプロ―チを行うことで有効な喪失対策がなされると同時に、全身の健康の保持増進に寄与することが期待される。
院長